根管治療で治らないときに行う治療
根管治療や再根管治療で病巣を治すことを「保存治療」と呼びます。それに対して、保存治療だけでは治らない場合に行うのが「外科治療」です。根管治療だけでは治らない歯に対して行う外科治療を、「歯内療法外科」と呼びます。
通常は、歯肉を切開して病巣を直接取り除きます。では、なぜ根管治療だけで治らないことがあるのでしょうか?
歯根膿胞 (しこんのうほう) |
病巣の周りを上皮(じょうひ)と呼ばれる膜が包むことで、風船状の膿胞がアゴの骨の内部に残ってしまい、感染源がなくなっても自然治癒しません。 |
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歯根肉芽腫 (しこんにくげしゅ) |
病巣が線維質のかたまりである肉芽腫になってしまうと、膿胞と同様に自然治癒しません。 |
石灰化 (せっかいか) |
根管の中にカルシウムがたまって管が狭くなったり、完全に塞がったりしてしまうことを石灰化(せっかいか)といいます。細菌が閉じ込められたまま根管が石灰化してしまうと、器具が感染源に届かないので十分な根管治療ができません。 |
- ・歯根膿胞や歯根肉芽種は多くの場合、自覚症状が起こりません。
- ・根管治療に問題がなく、かつ治療が終了して数ヶ月、または数年経ってもレントゲン上で病巣の大きさに変化が出ないことがあります。
根管治療前のレントゲン診査だけで病巣が膿胞か肉芽種かを鑑別することは難しく、歯内療法外科を行うか否かは根管治療の予後を診たうえで決定する場合もあります。
(1)局所麻酔をします。
(2)歯肉を切開し、歯を支える骨と病変が見える状態まで剥離(はくり:切り開くこと)します。
(3)炎症を起こしている病変部を取り除きます。
(4)感染が残っている歯根の先端部を切断し、根管の断面をMTAで封鎖します。→穴を封鎖して再生を促す「MTA」
(5)切開した歯肉を元に戻し縫合します。
術後は抗生剤と鎮痛剤で痛みと腫れを最小限に抑えます。ただし、痛みと腫れの程度には個人差があります。